第75回 カフェで学ぼうがんのこと「肝がん最新治療 + 年末年始の肝臓を守るには」

古賀 浩徳先生(久留米大学医学部消化器内科 消化器先端医療研究部門教授)

飲酒と肝がんの関係や最新の肝がんについての情報をお話いただきました!

飲酒とアルコール性肝障害、肝がん

これまで肝がんの原因は肝炎ウイルスが主でしたが、近年C型肝炎が投薬で治療できるようになったこともあり、肝炎ウイルスによる肝がんが減る一方、肥満、糖尿病、脂肪性肝疾患による肝がんが増えています。肝臓の病気は、アルコールの過剰摂取による脂肪肝、アルコール性肝炎の発症、重症化、肝硬変から肝不全そして死に至ることもあります。

また、肝硬変から肝がんを発症することもあります。飲酒に関しては、非飲酒者に比べて大量飲酒者では発がんリスクが高まり、アルコールが直接通過する口腔・咽喉や食道がんは約5倍、アルコール分解に関わる肝がんは約2倍、直接影響のなさそうな乳がんで1.61倍、結腸・直腸がんで1.44倍になります。

強力な肝がん治療法「New FP」

肝臓には、門脈と動脈の2つの血管があり、門脈は消化器、脾臓、胃からくる動脈が一緒になった太い血管で、肝臓の70~80%を養っています。がんの部位まで動脈からカテーテルを通して抗がん剤を投与し、動脈にふたをすることで多くのがん細胞を死滅させる方法をTACE(肝動脈化学塞栓療法)と呼びますが、この方法では門脈に入り込んだがんには使うことができません。そこで、動脈にカテーテルを留置して抗がん剤を5日間程かけて少しずつ注入し集中的にがん細胞を攻撃、最後にふたをすることでがん細胞への栄養供給を止めることができる肝動注化学療法「New FP」が有効となります(久留米大学 新関 敬先生のデータ より)。

進行肝がんに対しては、標準治療である飲み薬のみの治療に比べ、生存期間が2倍程伸びています。また、大きな肝がんを手術のみで切除した場合の5年生存率が16.5%に対し、New FPでがんを小さくしてから手術すると同6割以上と、明らかに予後が良くなっています。

参加者の感想

●アルコールによる発がんリスクの高さに驚きました。
●飲酒について見直します。

年末年始は特に飲酒機会が増えますが、リスクも考えながら楽しくお酒と付き合えるといいですね。

 日  時 :2018年11月30日(金)15:30~17:00 
 講  師 :古賀 浩徳先生(久留米大学医学部消化器内科   消化器先端医療研究部門教授)
 参 加 費 :1500円(ドリンク、お菓子付き)
 会  場 :タカラ薬局天神7階セミナールーム(福岡市中央区天神5丁目7-7)

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